Culture & History

 

ボツワナの人々

 

ボツワナには20以上もの部族が居住し、その中には南アフリカ、ジンバブエ、ザンビア、アンゴラ、ナミビアなど周辺の国々から来た部族もいて、彼らが豊か な文化の多様性をもたらしています。したがって、ウェブサイトでの限られた範囲内で、彼らの文化をすべて分かりやすく説明するのはたやすいことではありま せん。しかし、共通 の祖先を持つ「ツワナ(Tswana)」の部族内には共通の文化的特徴や慣習があります。

多くの国がそうであるように、都市化と異文化との接触は、大いにボツワナの文化に影響しました。しかし、多くの重要なボツワナ文化の鍵となる特徴は、悪影 響にもかかわらず生き残りました。植民地行政者の目的と衝突するような文化的伝統は、禁止されたり、かなり排除されたりする場合もありました。

他の文化的な慣習、例えば、家族や社会の中で女性に雑役を任せる傾向などは、絶えず異議がとなえられてきました。上述のような慣習は、男女平等に基づく現 代民主社会では見られません。文化と伝統を充分理解するには、現在の「物事のやり方」に対する洞察力を得るために彼らの過去を研究することが必要です。

部族の儀礼のいくつかは後述しますが、これらはもはやボツワナではあまり見られません。しかし、そのような風習が、今日でもボツワナ社会をまとめている根源的価値の礎となっています。

以下では、ボツワナ文化の過去と現在の特徴に重点をおいて、セツワナという「生活様式」に簡単にふれます。

ツワナ(Tswana)出身の人々、またはボツワナ国民は、バツワナ(Batswana)と呼ばれます。『モツワナ(Motswana)』は、ボツワナ国 民またはツワナ族の子孫を指します。『セツワナ(Setswana)』はボツワナ語を示し、近隣の国でもツワナ系の人々により話されています。また、生活 様式や「物事の仕方」も指します。したがって、前述の語は、ウェブサイトではある特定の意味と一般 的な意味との両方で使用されています。

現在のボツワナの諸文化間の勢力分布は、非アフリカ系子孫グループとの関係により生じた異なる部族グループの合併や同じ部族の分割の結果 です。これらは、過去の様々な時期にこの広大な領域をおおった植民地化の動きに伴い起こったことです。

 

 

言語

ボツワナの国語はツワナ語で、いくつかの方言があります。一方、英語は公用語として、ビジネスの場や都市部で広く話され、書き言葉としても使われています。

ツワナ語のフレーズを覚え、ボツワナで使ってみることは、ボツワナの人々とコミュニケーションをとるのに有用で、人々に喜ばれます。

 

日本語 Setswana Hear it!
はい Ee, rra  エ ラ (男性に対して)
Ee, mma エ ンマ (女性に対して)
いいえ Nnyaa, rra  ニャー ラ (男性に対して)
Nnyaa, mma ニャー ンマ (女性に対して)
こんにちは (女性に対して) Dumela, mma  ドゥメラ ンマ
(Dumelang, bo mma  ドゥメラン ボンマ:複数形)
こんにちは (男性に対して) Dumela, rra  ドゥメラ ラ
(Dumelang, bo rra  ドゥメラン ボラ:複数形)
お元気ですか? Le kae?   リカエ?
O tsogile?  オツォヒレ?
さようなら / OK Go siame   ホスィアミ
さようなら (行く人に対して) Tsamaya sentle  ツァマヤ センテレ
さようなら (残る人に対して) Sala sentle  サラ センテレ
ありがとう Ke itumetse   キイトゥミツェ
わかりません / 知りません Ga ke itse   ハキーツェ
あなたはツワナ語を話しますか? A o bua Setswana?  アオブア セツワナ?
私はツワナ語を少しだけ話します
Ke bua Setswana go le gonnye fela   
キブア セツワナ ホレ ホニェ フェラ
私はツワナ語を話しません Ga ke bue Setswana   ハキブエ セツワナ
問題ありません Ga gona mathata  ハホナ マタタ
元気です Ke tsogile sentle.  キツォヒレ センテレ
Ke teng.  キテン
入ってください Tsena  ツェナ 
(Tsenang ツェナン −複数形)
ここにきてください Tla kwano  タクワノ
これはいくらですか? Ke bo kae?  キボカエ?
お金がありません Ga ke na madi  ハキナ マディ
何がほしいですか? O batla eng?   オバタ エン?
水がほしいです Ke batla metsi  キバタ メツィ

 

 

歴史

 

ボツワナには主にツワナ系の人々(総称は「バツワナ」)が住んでおり、記録されている限りではバツワナの歴史は14世紀にまでさかのぼります。バツワナは、現在の南アフリカのハウテン州にあるマハリスバーグ山地に居住していたモハレ王の子孫であると考えられています。彼らは異なる時期に異なる理由で北方に移動し、当時比較的未開であった地域に定住しました。

現在のボツワナがある場所には、19世紀の初めには少なくとも8つの族長国がありました。それぞれの族長国に住む人々は、共通の言語を使い、歴史を共有し、平和に共存していました。

当時イギリスはアフリカ南部の主要な植民地支配国として、軍事力と経済力を確固たるものにしつつありました。また、自らをアフリカーナー(ボーア人)と呼ぶオランダ人入植者と、ナミビア(当時の南西アフリカ)に居住していたドイツ人入植者がそれぞれ南方と西方から押し寄せ、バツワナの土地を次々に併合していきました。

1870年に三人のディコシ(ボツワナの伝統的指導者)は、オランダ人およびドイツ人入植者により自分たちの領地が併合される恐れがあると、イギリス政府に陳情しました。イギリスの様々な団体や個人による熱心な支援のおかげで、イギリスの保護を求める活動は1885年に実を結び、ベチュアナランド保護領が誕生しました。

イギリス保護領となってから80年後の1965年にベチュアナランドは自治を獲得し、1966年9月30日に独立を果たしてボツワナ共和国となりました。以来、安定し調和のとれた国家として繁栄を続けています。初代大統領に選出されたセレツェ・カーマ卿は、1980年に亡くなるまで大統領を務めました。

独立以降、ボツワナでは民主主義を重んじ、公明正大な政府、公正な司法、平和と安定、堅実な経済運営が維持されています。
初の民主選挙が行われた1966年以来、ボツワナ民主党(BDP)が政権の座についており、幅広い層のボツワナ国民からの支持を受けています。ボツワナの第二代大統領を務めたケトゥミレ・マシーレ氏は、1980年7月に故セレツェ・カーマ初代大統領の後を継ぎ、優れた統治の伝統を維持しました。マシーレ氏は1998年に自ら辞職し、フェスタス・モハイ氏がその後を継ぎました。モハイ氏は2008年に二期目を終え、現職のイアン・カーマ大統領に至っています。

 

 

 

伝統的な政治と社会秩序

 


コトラ

バツワナは地域社会における意見の一致を図るために、伝統的な法廷議会であるコトラを開催します。コトラでは、全員に発言権が与え られ、全員の意見が検討されます。コトラは伝統的な民主政治の中枢です。コトラで議論される事柄は、個人的な問題から国家的な問題まで様々です。刑事事件 やその他の事件の聴取・審理を行なうほか、重要な部族問題や国家に関する問題は、コシとその主席相談役が統括し、総意により決定を下します。

1966年の独立以降も、民主主義にのっとって選出された多党議会と共存する形で、コトラ制度は残っています。

コシ

コシは部族または村の伝統的な指導者です。コシの座は選挙で選ばれるのではなく、世襲されます。コシは部族民から多大なる尊敬を集め、他の部族からさえも 丁重に扱われます。コシには、主席相談役の助けを借りて村の法と秩序を保つ責任があります。主席相談役は、たいていコシの家系の一員か、村の年長者が務め ます。コシの住居はコトラで、紛争や部族問題、国家問題について話し合いが行われる場でもあります。

 

 

 

信仰・価値観・風習

 

トゥメロ(宗教)

現在、ボツワナで信仰されている宗教の約80%を占めるのはキリスト教です。1800年代に宣教師によってキリスト教信仰がボツワナに持ち込まれる以前は、人々は祖先を崇拝しており、祖先は「守護神」の役割を果たしていました。そのため、祖先を敬い鎮めるための様々な宗教的習わしがありました。例えば、祖先に対する感謝の気持ちとして、または祖先の力を借りて雨乞いするために、作物の収穫後にその一部が捧げられました。
多くの人が今でも二重信仰の習慣を持っており、キリスト教と伝統的な宗教を信仰しています。

ボト(人間性)

ボツワナで最も重要な価値観はボト(他の人に対する最大の敬意、尊重、尊敬)です。ボツワナの社会では、人々がボトを持つことが期待され、必要とされています。ボトはボツワナの価値体系の基礎を成し、礼儀、謙虚さ、思いやり、優しさ、尊敬、丁寧さや伝統的な常識と行動規範の順守という形で現れます。
そのほか、ボツワナの国家理念を形成する価値観として、民主主義、発展、自立、団結が挙げられます。

モレロ(協議と合意形成)

ボツワナの人々は、社会での協議の大切さを強く意識しています。協議を行うことで、合意の形成を通して平和が確保されます。個人、家族、地域社会の各レベルでのモレロ(協議)のプロセスは、合意に達し、それを持続させるために、非常に有効であると考えられています。地域社会や政府もコトラにおいて協議を行います。


Traditional Doctorsディンガカ(伝統療法師)

ディンガカ(伝統療法師)は薬草と薬用植物について非常に幅広い知識を持っています。様々なハーブや根、葉、樹皮等は、ヘビによる咬傷、痛み、風邪、性的不能などの多くの病気を治すことが知られています。また、優れた媚薬効果があると考えられている植物もあります。薬草は、近代的な薬が利用できない病気を癒し、治すために、何世紀にもわたってディンガカによって利用されてきました。


さらに、ディンガカは、誰かに雷を落としたり、昇進のための幸運のお守りを与えたり、不安定な結婚生活を正常な状態に戻したりなど、並はずれた力を持っているとされています。ディンガカは、占い用の骨を用いて患者の問題を発見し、その問題から患者を守る薬を与えることもできるといいます。

ボツワナの医療制度では、伝統的な医術の重要性が一般的に認識されています。伝統的な医術を用いて診療を行おうと考えている人はボツワナ・ディンガカ協会に登録し、規制に基づいて診療行為を行なわなければなりません。しかし、外国の考え方や教育に触れる機会が増えるにつれ、こうした医術を否定する人も増えてきています。それでも、高い教育を受けた人々の中にも、伝統療法師の診察を受け、それを自分だけの秘密として隠している人もいます。

 

 

 

 

 

 

 

芸術と工芸

 

ボツワナの芸術と工芸は、多くの部族によってもたらされた豊かな文化の多様性を反映しています。ここでは、ボツワナの土着の芸術、工芸、音楽、食べ物、飲み物の概要について触れます。

 

 

 

 

 

土着の芸術

 

伝統的な家に施されているレカポという装飾は、何世代にもわたって受け継がれてきた非常に見事な芸術です。現在では泥ではなくコンクリートの家を建てる人 が増えているため、この芸術は徐々に廃れつつありますが、地方に行けば、今でも伝統的な装飾が施された家々を見られるところがあります。

 

ボツワナ全土で見られる岩壁画を残したのはバサルワ族の祖先です。そしてバサルワ族の人々は、今でも生まれながら の芸術的手腕を発揮しています。芸術学校に通ったこともないバサルワのアーティストたちが手掛けたキャンバス画からは、荒削りではあるものの、生まれなが らの素晴らしい才能がうかがえます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バスケット

 

ボツワナで最も有名な工芸品はバスケットです。ボツワナの農業文化に欠かせないバスケットは、ずっと昔から実用品として作られ、利用されてきました。現在でも、日々の暮らしの中で使われています。蓋がついた壺型のバスケットは、穀物や種、時にはソーガムビールを貯蔵するために利用されます。蓋のない大きなボウル型のかごは、女性が頭に載せてものを運んだり、穀物を搗いた後に籾殻を吹き分けたりするのに使われます。

バスケットは、主にボツワナ北西部に住むバエイ族とハンブクシュ族の女性によって作られています。

バスケットの主な材料は「象牙植物」という異名のあるモコルワネ椰子の葉を割いたものです。本来クリーム色をしていますが、植物の根や葉、樹皮などと一緒に煮立てて染色し、これを編みこんで複雑な模様を作り出します。例えば、伝統的なこげ茶色はモタラコラやモツェンツィラという植物から得られます。インディゴフェラという植物の葉は藤色に、ソーガムの籾やある種のキノコはかわいらしいピンクに染色することができます。元々、ほとんどのバスケットに柄はありませんでしたが、色や模様が編みこまれるようになってから、次第に複雑なデザインが生まれてきました。

バスケットの模様は、偶発的に生まれた抽象柄や、地元の環境や野生動物を象徴したものなどです。代々受け継がれてきた様々なデザインは、ボツワナの伝統的な生活様式と関連しています。例えば、雄牛が歩きながら排尿したときにできる模様を模した、「雄牛の尿跡」として知られているジグザグ模様があります。

ボツワナのバスケットは底の部分から渦を巻くように編み進めて作られます。繊維に沿って細く割いた椰子の葉を、植物の繊維、草、つる植物などを芯にしてコイル状に巻きつけていきます。すでに編んだ段に錐で小さな穴を開け、そこに巻きつける椰子の葉を通して、芯をくるむように次の段を固定する作業を繰り返します。染色したものを適当な間隔で編み込むことで模様ができあがります。ひとつのバスケットが完成するまでに数週間から数カ月もかかります。


ボツワナバスケットは、下記のお店で販売されています。 


モチレロ
東京都目黒区鷹番2-5-17 コーポ丸基105
Tel / Fax: 03-3719-0230
URL: http://mochilero.jp/shop-info.html
E-mail: info@mochilero.jp

第3世界ショップ*Asante Sana 目黒店
東京都目黒区三田2-7-10-102
Tel: 03-3791-2147
URL: http://www.p-alt.co.jp/asante/archives/sana/shop.html
E-mail: info@p-alt.co.jp

一村一品マーケット
成田空港第1ターミナル 中央ビル4階
Tel: 0476-33-5613

 

陶器

 

様々な部族が何世代にもわたって陶器を作ってきました。陶器は、特に宗教的儀式に利用されましたが、料理、水の貯蔵、伝統的なビールの醸造などにも使われました。

 

 

 

 

 

 

織物

 

独特で良質な手織りのタペストリーやカーペット、ベッドカバー、ジャケット、コートなどは、全てカラクール羊の毛から作られます。ハボローネの近くにあるオーディ織物協同組合は、その素晴らしい作品が世界的に評価されています。

ボツワナのタペストリーが、下記のお店で販売されています。


梅田洋品店(アフリカワイイ!)
東京都杉並区西荻南1-18-10
Tel / Fax: 03-5370-8114
URL: http://africawaii.com
E-mail: umeda@umeday.com

 

 

 

 

 

 

ビーズ製品

 

バサルワ族は、ビーズ細工を作るのに長けています。ダチョウの卵の殻を細かく砕き、破片のひとつひとつに小さな穴を開けます。穴に糸を通して数珠状につな げたところで、それぞれが角のないなめらかな円形のビーズになるまで、固い石や岩などに擦りつけ、形を整えていきます。こうしたビーズや輸入品のビーズを 使い、ネックレスやバングル、その他の装飾品を作っています。

 

 

 

 

木彫品

 

多彩な木の種類に恵まれていることから、素晴らしい木工品が産み出されてきました。その大部分は、様々な動物や鳥の彫刻です。彫刻以外にも、多くの木彫りの製品が家庭で使われていますが、次第に、輸入される大量生産品に取って代わられつつあります。

伝統的な家庭用品には、モホポ(木製のボウル)、様々なサイズの木製のスプーン、キカ(木製のすり鉢)、モツェ(木製のすりこぎ)などがあります。川の近くの集落では、外国人旅行者に非常に人気がある、モコロと呼ばれる木製のボートも作られています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

革製品

 

家畜や野生動物の皮革が豊富に手に入るため、伝統的なボツワナ社会は、皮革を使って、衣類、装飾が施された革のブランケット、睡眠用のマットなどを作る手法を発達させました。皮革は用途に合わせて様々な根や樹皮で処理されます。

伝統的な革製の服は布製の服に代わってしまいましたが、バサルワ族(ブッシュマン)の中には今でも革製の 服を身につけ、狩猟採集を行う人々がいます。伝統的なダンスを踊るグループも、ダンスのときには革製の衣装を着ます。高級でおしゃれな革のハンドバッグや ベルトなどの製品も、現在はボツワナ国内で工場生産されています。

 

 

鉄器

 

現在のジンバブエのワンゲ地方からやってきたカランガ族は、鉄を採掘していました。伝統的な採掘法は、鉄を含んだ岩の上で火を起こし、熱くなったところに水をかけてこなごなにして鉄をとり出すというものでした。

カランガ族の鉄商人は鉄で鍬を作り、ツワナ系の人々の家畜と交換しました。

 

音楽

 

ボツワナの人々は、伝統音楽、現代音楽、地元の音楽、外国音楽など、どんな種類の音楽も幅広く受け入れます。ボツワナの様々な部族文化も国の音楽を豊かに した一因です。ドラムやラトル(脚に装着する鳴り物)、ホイッスル、手拍子が、活気に満ちたリズミカルなダンスパフォーマンスをさらに盛り上げます。国際 的なイベントでボツワナの伝統パフォーマンスを披露して称賛されたダンスグループもあります。結婚式、成人式、収穫、治療、催事の際など、特定の年齢層や 特別な場面で好まれる音楽が、世代を越えて伝えられてきました。

その他にも、セティンカナ(親指ピアノ)やカタラ(ギター)、セハバ(弦楽器)の伴奏で演じられる音楽もあります。ギターは伝統音楽にも取り入れられてお り、「ギター風」の多くの歌が、セハバの音楽と同様に代々伝えられてきました。ラツィー・セタラコやンドナ・ポイフォ、ジョージ・スワビ、オンポネ・シェ レン・オシティレ、アンドリース・ボク、スピーチ・マディマベなど、多くの才能豊かなミュージシャンたちによって、伝統音楽は支えられてきました。

ディコマとして知られている古い音楽は、今でも老人たちが、レパタタと呼ばれるクドゥーの角で作った楽器や、様々な動物の骨から作られる伝統楽器により演奏しています。

 

民間伝承(マイナネ)

 

これからの世代は、都市化などの要因が伝統的な生活様式に侵入してくるにつれ、祖父母が焚き火のそばで物語を語ってくれるという恩恵を享受できなくなるで しょう。マイナネまたはディナアネとして知られる、聞く者の心を捕える物語は、夕食後の家族団欒の際に祖父母から孫に語られました。

物語を語った祖父母もまた、自身の祖父母や部族の年長者から物語を聞きました。多くは、巨人、コホモドゥモ(神話上の鳥)のような神話上の動物、マルアルア(クジラ)、ウサギとその知恵、キツネとそのずる賢いいたずら、強者を倒す弱者などについての物語でした。

ボツワナの民間伝承は、特にクジラなどの内陸国にはいない動物を扱っているのが興味深い点です。物語はボツワナに海があった時代にまで遡るものなのでしょ うか? コホモドゥモのような神話上の鳥は恐竜の一種だったのでしょうか? 研究により物語と歴史の興味深いつながりが明らかになるかもしれません。

 

 

 

食べ物とおすすめ料理

ボツワナでは降雨量の少ない気候のため、栽培できる作物の種類が限定されています。しかし市場には、灌漑によって地元で生産された作物や、近隣国から輸入 された作物が、豊富に揃っています。ソーガム(モロコシ)とトウモロコシが主要作物です。さらに、様々な豆類や食用作物もあります。

ボツワナは人口が少なく、土地が豊富にあるため、牛を自然の中で育てることができ、高品質の牛肉生産では抜きんでています。ラムやマトン、鶏肉、その他の肉もいつでも手に入ります。

 

食べ物の種類


穀類

ソーガムやトウモロコシ、キビ、小麦、米のほか、国内では生産されていないその他の種類の穀類も容易に手に入ります。


豆類

ササゲ、ディトロ、レトロディ、落花生などの豆類が豊富です。

 

野菜

ホウレンソウ、ニンジン、キャベツ、タマネギ、ジャガイモ、サツマイモ、トマト、レタスなど、の商用栽培されている野菜は簡単に手に入ります。

さらに、ボツワナが原産国であるとされているスイカは、時期になればたくさん出回ります。地元ではレロツェまたはレカタネとして知られている瓜もあり、 様々な用途で使われ、ボツワナ料理の引き立て役にもなっています。その他に、砂漠地帯で育つ野生の瓜もあり、砂漠地帯の住民にとっては重要な水と食料の源 となっています。

自生する野菜の中には、特定の季節にしか手に入らないものもあります。中でもロトウェとテペが一番の人気で、ボツワナ料理によく用いられます。乾燥させた豆の葉も好まれます。

 

野生の果物

よく雨が降る雨季には、人間にとっても動物にとっても優れた食料源である果物や塊茎植物が、たくさん採れます。ボツワナの多くの地域では、季節ごとに、モレトルワ、モルラ、モラマ、モツォツォジャネ、ンムプドゥ、ケングウェ、セロワなどが採れます。

しかし、人口が増加し、自然環境が全般的に悪化しているため、果樹や塊茎植物の中には、徐々に姿を消すものもあります。


肉類

牛肉はボツワナ国民の好物であり、結婚式などの行事では大量の牛肉が食されます。ヤギ肉も好まれ、これに次いで地鶏の肉とラムが人気です。川の近くの地域では、川魚も手に入ります。

 

飲料

ボツワナでは多数のソフトドリンクとアルコール飲料が工場生産されています。アルコール飲料には、キャッスルやライオ ンなどのブランドのラガービールがあります。牛乳も豊富で、牛乳を発酵させ、水分を抜いて、マディラ(サワーミルク)が作られます。マディラはそのまま食 べたり、おかゆの調味料として使われたりしています。

自家製のノンアルコール飲料であるジンジャーは、広く好まれ、結婚式や葬式などの大きな祭式でよくふるまわれます。主原料は粉末ショウガと酒石酸、酒石英、砂糖で、しばしばパイナップルやレーズン、新鮮なオレンジで風味付けします。

伝統的な製法で作られているアルコール飲料も多種類あります。ボジャルワ・ジャ・セツワナ(バツワナのビール)は、発酵させたソーガム(モロコシ)の種か ら醸造されます。カランガ族のように、レベレベレ(キビ)を使う部族もいます。商用に製造されている地ビールのチブクは、トウモロコシまたはソーガムから 醸造され、村や町で特に好まれ、都市の一部でも人気の飲み物です。チクブはマラウイや南アフリカ、ザンビア、ジンバブエなどの近隣国でも醸造されていま す。カーディは様々な原料から醸造されますが、最も健康的な原料は野イチゴです。カーディは、特に低所得者層に幅広く消費されているアルコール飲料です。

他にもアルコール度数が非常に高い地酒がたくさんあります。こうした地酒の摂取は、法律で禁じられてはいませんが、健康を著しく害する可能性があります。 最も致死性があるのは、トトトという酒で、ソーガムの混合物から蒸留され、アルコール度数は80%を超えます。オ・ララ・ファ(ここでくたばれ!)、チェ チサ(急げ!)、ラエラ・ンマホ(ママにお別れを言いな)、モンナトナ(本物の男)、モツェ・オ・テン・ホディモ(家は天国に)などといった不吉な名前が つくほどアルコール度数が高い酒もあり、そのほとんどがイーストと砂糖の混合物から一晩かけて醸造されます。モルラのように、野生の果物から作られる害の ない酒もありますが、特定の季節にしか手に入りません。

 

 

おすすめの料理と飲み物

 

肉料理

最も一般的な肉料理は、セスワ、セロベ、チキン、オックステール、セホヮパ、ビーフバーベキューです。

チョトロとも呼ばれるセスワは、多くの行事で振る舞われる、国民食ともいえる伝統肉料理です。(通常男性が)肉を三つ足のついた鉄鍋で調理し、大きな木製 のスプーンで柔らかくなるまでたたきます。セスワに加えられるのは塩と水だけで、それ以外のスパイスの使用はタブーとなっています。

セロベも人気の料理です。ヤギ、羊、または牛の腸と特定の内臓を洗って(羊やヤギの場合は脚も一緒に)火を通します。小さくぶつ切りにし、適度な軟らかさになるまでさらに加熱します。

伝統的な方法で育てられた鶏は、商用に生産された鶏よりもずっとおいしいと考えられています。来訪者のために鶏を絞めて伝統的な料理を作ることは、歓迎の気持ちを表現し、そのお客にとって忘れがたいもてなしになります。

鶏肉は素晴らしいモファホ(長期旅行用の食糧)にもなります。たまにチリペッパーが用いられることもありますが、鶏肉は基本的に塩と水だけで調理されます。鶏肉を三つ足の鉄鍋で直火にかけて調理すると一番おいしくでき上がります。

様々な方法で調理されるオックステールも好まれる肉料理です。

ボツワナには様々な種類の良質の肉が豊富にあり、ビーフバーベキューや天日干しした牛肉(セホヮパ)は、おもてなし料理として人気があります。セホワパはおつまみとしてお酒によく合います。

 

ボホベ(おかゆ)

ボホベ(おかゆ)の基本的な作り方は、まず主な材料であるソーガムまたはトウモロコシ、キビ粉を沸騰した湯に加え、かき混ぜて柔らかめのペースト状にします。それからゆっくりと火を通します。ボホベ(おかゆ)を忘れられない味にするには、色々な方法があります。

・ティンという、発酵させたソーガムまたはコーンミールのおかゆは、朝食で出される人気の料理です。通常、牛乳を入れて軟らかめに作り、朝食で出される場 合は砂糖を加えます。昼食または夕食として出される場合は、肉や時には野菜が入れられ、より食べ応えのあるティンになります。

・サワーミルクまたは料理用のメロン(レロツェ)を入れてボホベを調理する方法も人気があり、サワーミルクとレロツェ両方を入れることもあります。この料理はカランガ族にトピと呼ばれています。

 

ディコベ/レハタ

トウモロコシまたはソーガム、サンプ(ひき割りトウモロコシ)と豆とを混ぜ合わせて作る料理です。その他の材料は塩と少量のラードもしくは油です。新鮮な牛乳や肉料理と一緒に食べることもあります。


野菜料理

伝統的な野菜として好まれているのは、茹でてから乾燥させた豆の葉と、ロトウェとテペという二種類の自生する野菜です。これらの野菜は雨季の間しか採れな いため、採ってきたら、茹でて塩を加え、乾燥させて、乾季の間に使うために保存しておきます。オクラやカボチャの葉も伝統的な珍味です。

乾燥させた野菜を調理するにも様々な方法がありますが、最も一般的なのは、水で戻すか茹でるかした野菜に食用油とトマト、タマネギ、落花生、トウガラシなどのスパイスを加える方法です。

ホウレンソウやキャベツなどの野菜は、主食のボホベ(おかゆ)の付け合わせとして調理されます。

 

パン

強力粉は主食のうちには入りませんが、長年にわたって輸入され、ボツワナで利用されてきました。そのため、ボツワナの郷土料理と言えるほど、様々なパンの レシピがあります。パン料理の基本的な材料は、強力粉、ベーキングパウダーまたはイースト、塩で、砂糖を入れることもあります。

最も一般的なパン料理には、マテレベクヮニ(肉まんの皮のようなパン)、ンマセクク (薪で火を通したもの)、ディパパタ(平たいパンケーキ)、マグィニャ(揚げパン)などがあります。どれも、まず強力粉からパン生地を作り、大きめのかた まりに分け、火を通します。肉と一緒に茹でる、熱い油に入れる、炭や薪で焼くなどの調理法やパンの形に応じて、それぞれのパン料理は上記のように違った名 前で呼ばれています。

 

 

 

レシピ

 

セスワ

 

<材料>

  • 牛肉2キロ

1. 2キロの牛肉(ランプ肉)を3×10センチ程度の大きさに切り分ける。
2. 肉を鍋に入れ、ひたひたの水を加え、弱火で約2時間煮る。
3. 木のスプーンで肉をほぐし、塩で味を付ける。
4. ご飯またはトウモロコシに添えて出す。

 

モハトラ (オックステールの煮込み料理)


<材料>

  • 小さめのオックステール:薄切り
  • タマネギ1個:みじん切り
  • トマト2個:スライス
  • トマトペースト大さじ2
  • 固形スープの素
  • ニンニク一片:つぶす
  • サラダ油大さじ2
  • 味付け用の塩とコショウ

 

 

1. 少量の油でオックステールを焦げ目がつくまで炒めて取り出す。
2. 残った油でタマネギが柔らかくなるまで炒め、トマト、ニンニク、トマトペーストを加え、よく混ぜる。
3. オックステールを中くらいの鍋に入れ、水と固形スープの素、先ほど炒めたトマトなどを加える。
4. 蓋をして、肉が柔らかくなるまで煮込む
5. 加熱時間が終わる30分前に団子(レシピは下記参照)を加えてもよい。

マテレベクヮニ(団子)


<材料>

  • 薄力粉6カップ
  • 塩ひとつまみ
  • 砂糖小さじ2
  • インスタントイースト小さじ2
  • お湯1カップ


1.上記の材料を全て混ぜ合わせてかなり硬めの生地にする。
2. 2、3分かけてよくこね、ボウルに入れてラップをし、大きさが2倍ぐらいになるまで暖かい場所に置いておく。
3. こねてから、10〜12個に分け、丸く形を整える。
4. オックステールを煮込んでいる鍋に、加熱時間が終わる30分前に加える。蓋をして、火が通るまで加熱する。

 

 



ボツワナ共和国大使館

〒108-0014 東京都港区芝4-5-10

カーニー・プレイス芝 6階

Tel: 81-3-5440-5676
Fax: 81-3-5765-7581